最近漫画ゴールデンカムイのヒットから、北海道に古くから伝わるアイヌ文化が注目されています。
この記事では、アイヌ文化を継承しつつ、現代アートと見事に融合させた
アート作品を数多く手がける貝澤徹さんのプロフィールをご紹介したいと思います。
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貝澤徹プロフィール
1958年北海道二風谷(にぶたに)生れ
「北の工房 つとむ」店主
明治時代名工と呼ばれたウトレントクを曾祖父に持つ。
アイヌの伝統を受け継ぎながらも、自分らしさやメッセージ性の高い独創的な作風のアイヌアートを制作している。
北海道アイヌ伝統工芸展北海道知事賞ほか受賞多数。
貝澤徹さん木彫り家としての駆け出し
貝澤徹さんは、アイヌの人口密度が一番多いとされる北海道平取町二風谷地区で三人兄弟の長男として、生まれ育ちました。
白老地区の高校を卒業して工芸家の父の後を継ごうと、平取に戻りました。
はじめは店先で観光客を相手に、リクエストを聞いて掘りたいものを掘っていました。
転機は20歳の時
転機は20歳の時、北海道を代表する木彫家の藤戸竹喜さんに出会いでした。
貝澤さんが祖母の家を訪れた時、藤戸さんから土産物も熊の木彫りとは全く違う、写実的な熊の木彫りをもらったのです。
貝澤さんは動物の木彫を写実的に仕上げることに夢中になりました。
貝澤さんは30代半ばまで動物の木彫を製作していましたが、
貝澤さんの曾祖父のウトレントクのイタ(アイヌで言うお盆のこと)を複製したのをきっかけに、アイヌ文様を掘り始めました。
貝澤さんは、二風谷のアイヌ文化博物館がオープンした時のシンポジウムで、彫刻家の先輩たちが真剣な面持ちで祖父のイタを見入っていたのを目にし、
「もっとアイヌ文様を掘らなくてはいけない」と考えるようになりました。
その後貝澤さんは、アイヌ伝統文化と現代アートを融合させた作品を作り始めました。
代表作に「IWOR-UN-PASE-KAMUY(イウォルン パセ カムイ)」(
札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅コンコース内)、「UKOUKU(ウコウク)/輪唱」などがあり、
『ケウトゥムカンナスイ/精神再び』は2018年大英博物館に展示され、国内外から多くの注目を浴びています。
また近年、直木賞受賞作『熱源』や漫画『ゴールデンカムイ』の人気により、アイヌ文化が若い人の間に知れることになりました。
貝澤さんの工房にも「マキリ」というアイヌ伝統の小刀を買い求めに来る人も多くいるといいます。
マキリは漫画ゴーリデンカムイの中で取り上げれ、実際に作者の野田サトルさんも2016年6月に貝澤さんの工房を訪れ、「マキリ」の作成を依頼しました。
マキリは製作期間が6ヶ月程かかる上に、1本10万〜15万円くらいのお値段だとのこと。
ゴールデンカムイファンは直に平取町までやってきて、この高価なマキリ作成の依頼をすると言うのだから、熱狂的なファンというのはすごいものです。
はじめはただ漫画を楽しんでいただけでも、次第に漫画の中に登場するアイヌ文化に興味を持ち、触れてみたいと思うのでしょう。
「北の工房 つとむ」アクセスと作品に関するツイート
アイヌ工芸品の整理その3。これも二風谷の貝澤徹さんに製作依頼して作ってもらったマキリ。このマキリは渡辺謙さん主演の映画「許されざる者」で使用されたマキリと同じようなデザインになります。同じようなと言う表現なのは徹さんは同じパターンでも多少デザインを変えているからです。 #貝澤徹 pic.twitter.com/qe0MFkUuag
— トノ(ヒロ) (@kotankorkamuy) June 24, 2018
こちらは二風谷の貝澤徹さん製作のスオプ(箱)です。
素材はカツラを使用しアイヌ文様を施した宝箱のようなデザインになっています。蓋を閉めた時は木の留具にアットゥシの紐を通します。紐は輪になっているので用意すれば鍵をかける事も可能です。#貝澤徹 #北の工房つとむ #二風谷 #アイヌ pic.twitter.com/4jVNf333lb— トノ(ヒロ) (@kotankorkamuy) May 27, 2020
こちらは二風谷の貝澤徹さん製作のアイヌ伝統のニマ(えぐり鉢)です。このニマは徹さんのお父さんの代からのデザインで、元になったニマも工房で見せて貰いました。このニマは脚付きでチェペニパポを取り入れた作品になっています。#貝澤徹 pic.twitter.com/Doy8D5U84I
— トノ(ヒロ) (@kotankorkamuy) March 23, 2020

貝澤徹のプロフィールを紹介!今金カムの影響で高価なマキリが売れている!のまとめ
以上、北海道平取町二風谷でアイヌアートを制作している貝澤徹さんをご紹介しました。
この数年で急激に注目されるようになったアイヌ伝統文化ですが、貝澤さんは幼いうちから家業の工房で彫刻家の父や父の仕事仲間に囲まれて育ってきたのです。
何も特別なことではないのかもしれません。
貝澤さんはアイヌの伝統を保ちながら、自分の個性を打ち出したアートに取り組んできました。
貝澤さんが脈々と営んできたことに、やっと時代が追いついてきたのかもしれません。
今後の貝澤徹さんのご活躍を楽しみにしたいと思います。