こんにちは!なぎさです!
「住野よる」による、ベストセラー小説「青くて痛くて脆い」が、
俳優「吉沢亮」と「杉咲花」によるW主演で2020年8月28日に映画化され公開されることが発表されました。
住野よるは「青くて痛くて脆い」は映画化され大ヒットした同名タイトルの
「君の膵臓を食べたい」の原作小説を書いた作家さんになります。
今回は「青くて痛くて脆い」のあらすじとネタバレを小説をまだ読んでいない人に向けてご紹介していきます。
映画館で新鮮な驚き感じたい方は、ネタバレを含みますので、ご注意下さい。
Contents
小説【青くて痛く脆い】のあらすじとネタバレ
田端楓(たばたかえで)と秋好寿乃(あきよしひさの)の出会い
大学に入学し友達もいなく、教室で一人講義を受ける田端楓と秋好寿乃。
二人は一年生同士、全く違うタイプの学生ではあったけど、同じ授業を取っていたことから出会いが始まります。
秋好は、快活な雰囲気でよく教室に通る声で、「質問があります」と手を上げます。
講師の「質問は後で」と言うジェスチャーに対してもそれを遮るような形で、
「この世界に暴力はいらないと思います」
と質問とも言えない、ただの意見表明をする秋好に楓は驚きます。
「こいつ痛いヤツだな」。
楓は、小学校の道徳で習うような、青臭い理想論を恥かしげもなく堂々と掲げる秋好を目の当たりにして思います。
人との距離を保ち、人の意見を否定しないのをモットーとしていた楓にとっては、一番近付きたくないタイプ。
秋好は驚くことに、この空気を読めない質問攻撃を、各講義でやっていました。
後日、また秋好の質問タイムに出くわした楓は、
「こいつ、痛いどころじゃない。完全にヤバいやつだ。絶対に近づいちゃいけないヤツ」
楓は教室で楓を見つけて、わざわざ隣の席に移動してきた秋好に視線を送ることもできず、硬直します。
講義が終わると、逃げるように教室を出る楓を秋好が追ってきます。
楓は他の学生から、秋好といることで、クスクスと笑われたり、陰口をたたかれたりして同じ目でみられました。
それは楓が望んでいた「静かな大学生活」ではなかったけれど、楓は不思議と秋好を拒絶することもなく2ヶ月を過ごしました。
秘密結社「モアイ」の結成

秋好が何かサークルに入りたいのだけど、「なかなかピンとくるサークルがなくて」と言うと、楓は
「どうしてもやりたいものがなかったら、自分で作ったらいい」と提案します。
「4年間でなりたい自分になる」
秋好と楓は青臭い理想論を掲げて、たった二人きりのサークル「モアイ」を立ち上げました。
痛いとしか思っていなかった秋好を友達として受け入れ、理想を語る秋好に楓はしだいに感化されていきました。
楓自身も理想を夢みるようになりました。
4年間で「なりたい自分」を見つけられると思っていました。
楓の就職活動と内定
楓はリクルートスーツに身をつつみ、なりたい自分とは程遠い現実を受け入れざるを得ませんでした。
思ってもいないことを、履歴書の志望動機に書き、偽りの自分を装って獲得した内定。
「全部、嘘だ。嘘だ。嘘だ。僕はそんなに立派な人間じゃない」
そこに共に理想を語った秋好はいません。
就職の内定を獲得してほっとした楓は、秋好と二人で活動していたころのモアイとは、
すっかり様変わりし、意識高い系の就職活動サークルとして巨大化し、キャンパス内を我が者顔ではびこる部員ばかりのモアイを壊そうと思いつきます。
変わってしまった「モアイ」

巨大化した組織を牛耳るのは、現モアイのリーダー「ヒロ」と、通称「テン」。
ヒロは学食で何人もの女子をはべらせ、テンは交流先の企業のOGを食い物にして、一方的に捨てているとの悪い噂も聞こえます。
秋好と楓が作ったモアイは、就職活動とは名ばかりの飲み会やイベント、
少し先輩の社会人たちに媚びばかり売るようなチャラついたサークルになり下っていたのです。
楓は一足先にに就職活動を終えた親友の董介(とうすけ)に、もともとモアイは自分が作ったものだと打ち明けます。
楓はモアイのことを毛嫌いしていた董介と楓と一緒に「モアイと戦う」ことを決めます。
テンのスキをついて、モアイの不祥事をあばく為の潜入捜査
楓と董介はモアイの幽霊部員だと言う、董介の後輩「ポン」のつてを使い、モアイのバーベキューイベントに参加します。
そこでテンと出会いメールアドレスを交換します。
談笑の中でテンの恋愛話になり、楓と董介はテンの悪い噂の裏を取ろうと話に聞き入ります。
一見チャラくてモテそうな雰囲気から、OGのお姉様方からのお誘いを受け男女関係になるものの、
一方的に捨てられていたのはテンの方でした。
テンは交流先のOGの印象を悪くしない為に、一方的に自分がOGのお姉様方を捨てたと周囲に語っていただけでした。
楓と董介は、モアイの悪事を暴くためのソースをテンに見いだすことができませんでした。
テンは一見チャラついているが、愛されキャラの以外と「イイヤツ」だったのです。
突然企業から送られてくるようになった迷惑メール

董介は就活用のメルアドもプライベート用のメルアドも分けることなく使っていたので、
企業から大量の迷惑メールが送られて来ても、さして気にもしていませんでした。
しかし楓がテンに教えたメールアドレスは、捨てアドの無料メールで、テンにしか教えていないもの。
バーベキューイベントに行った直後から、企業から大量のメールが送られて来ていました。
「ヒロやテン(モアイ)が、学生の個人情報を無断で企業に流している可能性がある」
と睨んだ楓と董介は、モアイのメンバーのフリをして、
「新しく名簿を管理する担当者になったから、最新の状況を確かめたいので、お持ちの名簿を確認させてください」
と言う旨のメールをいくつかの企業に送りました。
翌日ある企業は、楓と董介が本当にモアイのメンバーかも確認もせずに、ネット上で開けるurlを載せてメールを送信してきました。
「やった!名簿が手に入った!」
楓と董介は、喜んだのも束の間、urlを開いても、当然パスワードを入力しないと、名簿は閲覧できない仕組みになっていました。
そんなに簡単には行くわけはありません。
楓と董介はパスワードの解読に入ります。
パスワードはモアイ結成の日

楓と董介は思いつくままに、パスワードを入力します。
諦めかけた時に、董介が楓に「お前、モアイ結成の日を覚えてるか」と聞きます。
「ああ、確か6月21日」。
董介が「0621」と入力しても、名簿のファイルは開きません。
「こんなのどうだろうか。moai0621」。
すると名簿のファイルが開き、部員の個人情報を確認することができました。
しかし、このパスワードを設定するとしたら、リーダーのヒロ。
ヒロが何故、楓と秋好の作ったモアイ結成日を知っていたのでしょうか。
董介がモアイとの戦いから手を引こうと提案
董介は楓に「この辺で辞めておかないか」と楓に提案します。
テンにしたって、噂ほど悪いヤツじゃなかったし、学生の個人情報を勝手に流すのは、確かに悪い。
それ自体は悪いことだけど、モアイを壊したところで、モアイを居場所にして必要としている学生の立場はどうなるのかと。
楓はあと一歩のところまで、追いつめたモアイやヒロを、今更見逃す訳にはいかないと、反論します。
世間の予想以上の反応

結局、董介はモアイとの戦いから手を引き、楓が一人SNSを使って、モアイの不祥事を拡散します。
楓のばらまいたモアイの不祥事は瞬く間に、火がつき拡散し、週刊誌で報じられました。
モアイは報告会と言う名の謝罪の場を設けることとなりました。
報告会に参加しようと楓は3時間も前に、大学のある最寄り駅に到着します。
そこに現れたのは、リーダーのヒロではなく秋好寿乃でした。
秋好は楓がモアイの不祥事をネットで拡散したことをわかっていました。
二人はしばらく話し合いましたが、楓が「モアイが変わってしまった」と言うのに対して、秋好は「変わっていない」と言います。
仮に変わっていたとしても、それの何が悪いのか?
楓と秋好の話は並行線のまま終わりました。
先輩・脇坂からの助言
楓は自分のしたことを謝ろうと、秋好を探しに夜のモアイの部室を訪れます。
そこには秋好の姿はなかったが、秋良の取り巻きが次第に多くなった頃に出現した脇坂の姿がありました。
「きみはいったい何がしたかったの?」
「モアイを壊して戻そうとして、いったい何のために?」
脇坂からそう聞かれ、
楓は「僕はずっとモアイにいたかったんです」と答えます。
脇坂は、「でも、もう君のいた場所を取り戻すことはできないよね」と付け加えます。

楓がモアイの為、残された部員の為にしたこと

楓は4年生までモアイの代表を務めた川原へ連絡を取り、一足先に社会人になったOBとして、後輩達との交流会を開きました。
楓は企業や業務に対する説明や、やりがいなど、下手ながらも精神誠意後輩たちに伝えました。
学生からの質問で、「学生生活にした経験で良かったこと、学んだことは何ですか」
と言う問いかけに、楓は
「大切な人を傷つけて後悔していること。
誰かを傷つけてしまった後悔が根付いていて、出来る範囲で人を傷つけないように、
人に対して誠実であろうと思うようになった。」
と答えます。
すると楓は学生達の後ろに立って、学生たちの様子を観察している秋好の姿を見つけます。
休憩時間になると、楓は急いで食堂の出口へ向かう秋好を追います。
もう一度君に会いたい。
間違っていた、弱かった自分のこと。
無視されてもいい、拒絶されてもいい。
その時もう一度、ちゃんと傷つけ
引用:「青くて痛くて脆い」本文中より
「青くて痛くて脆い」のあらすじとネタバレを紹介!映画館で見る前にのまとめ

今回は小説「青くて痛くて脆い」のあらすじとネタバレを紹介しました。
理想だけでは生きていけないと、秋好は気付いていたのでしょう。
楓と秋好が知り合った頃の青臭い理想論。
楓は大学生活で理想を信じたまま、それ以上成長することはありませんでした。
秋好はいち早く、理想だけでは生きていけない、幸せになる為にはもっと具体的に努力する必要があると言うことに気づきます。
秋好はそれを就職活動サークルと言う形に落とし込んで行っただけであって、根底にある秋好と楓の理想は何も変わってはいなかったのです。
楓は自らモアイを辞めたにもかかわらず、勝手にモアイや秋好が変わってしまった、
自分を捨てたと思い込み、逆恨みをしてモアイを潰し、秋好を傷つけてしまいました。
傷ついたから、傷つけていいはずがありません。
それに本当の意味では楓は傷ついてすらいません。
傷つくことが怖くて、自らモアイを離れたのですから。
楓は本当はモアイにいたかったし、誰よりも秋好の側にいたかったのに、素直になれませんでした。
秋好を傷つけ、秋好の大切にしていたモアイを壊すことでしか自分の存在を知らしめることしかできなかった弱い楓。
青くて痛くて脆い存在とは、楓自身のことを表していたのでした。