テキサス州でおこった、セレブ一家殺害事件の真相とは、どういったことなのでしょうか。
トーマス・バートレット・ウィテカーが一見、一夜にして妹や母を失った遺族として、報道されますが、一年後事件の真犯人として捕まります。
この記事では、トーマス・バートレット・ウィテカー事件について、ご紹介したいと思います。
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トーマス・バートレット・ウィテカー(Thomas Bartlett Whitaker)テキサス州セレブ一家殺害事件とは
テキサス州のリヴィンストン郊外ポラスキーユニットという町で、2003年12月10日に、裕福なセレブ一家が何者かに襲われ、母と弟が銃で殺害され、父親と兄がかろうじて生き残った事件をいいます。
この事件は、クリス・ブラッシャーが母と兄弟1人を殺害したとして、2007年3月に死刑が確定しています。
しかし事件の真相は、実の兄トーマス・バートレット・ウィテカー(バート・ウィテカー)が、殺人の実行犯を裏で雇い、両親と弟を殺害しようと計画していたものでした。
この事件で、ウィテカーも銃弾により負傷しましたが、自分も被害者に見せかけるための偽装工作でした。
父親のケントは、殺害される予定でしたが、たまたま運よく生き残ったようです。
ウィテカーは一家の殺害のために、クリス・ブラッシャーを殺人の実行犯として、スティーブン・シャンパーニュを逃走用のドライバーとして雇いました。
ウィテカーは殺人事件の真犯人として、自分に捜査の目が向けられそうになるのを悟って、2004年までの1年間メキシコへ逃亡し、ルディ・ライオス(RudyRios)という偽名を使って過ごしていました。
2005年9月15日に、アメリカ当局からウィテカーに対し第一級殺人の令状が出されると、メキシコ当局も移民容疑とは別にウィテカーを逮捕し、テキサス州ラレドの国境付近の町で、アメリカ当局にウィテカーの身柄を引き渡しました。
ウィテカーの高校時代・大学中退(トーマス・バートレット・ウィテカー テキサス州セレブ一家殺害事件)
ウィテカーは、クレメンツ高校というハイスクールに通っていましたが、友人たちと企てた強盗計画が学校にばれて、退学となっています。
2001年にも、家族を殺害する計画を友人らに持ち掛けていましたが、これらは未遂に終わっています。
殺害を持ち掛けられていた友人の一人が、2003年の殺人事件の裁判で、2001年にもウィテカーが家族殺害の計画をしていたことを、シュガーランド警察署に情報提供していたと証言しています。
この時期に、ウィテカーは臨床心理士により、妄想障害があると診断を受けています。
ウィテカーの精神状態は、裕福であるがゆえに、多額の金品を両親に与えられていたことから、どんどんエスカレートし無秩序なものへと変化していきました。
ウィテカーは両親に、何台もの高級車や2つの大学の学費を払ってもらい、途中で勉強についていけず退学していることも内緒にしたまま、贅沢な暮らしをし、友人らと遊びほうけていました。
殺人がおこった当日は、ウィテカーは辞めてしまったはずの大学の卒業パーティーを両親に開いてもらい、殺人実行数時間前には4,000ドルもするロレックスの腕時計をプレゼントされていました。
裁判の行方(トーマス・バートレット・ウィテカー テキサス州セレブ一家殺害事件)
2007年の裁判では、検察官はウィテカーが殺人に直接手を下していないにせよ、殺人事件の首謀者として、責任を負う必要があると論じました。
検察側の証人となった逃走用の運転手役であったスティーブン・シャンパーニュは、ウィテカーの家族を殺害すれば、生命保険の100万ドルの中から、シャンパーニュたちに報酬を支払う約束をウィテカーとしていたと証言しました。
ウィテカーは裁判で、薬物を乱用したことによる精神障害から、家族を殺害したいという思いがつのったと主張しました。
父親のケントは、ウィテカーの弟でもある自分の息子を一人殺されていながらも、ウィテカーに死刑判決を下さないよう陪審員を説得しようと試みました。
しかし、陪審員はテキサス州の法律の定めるところにより、ウィテカーに死刑判決を下しました。
ウィテカーは自分が死刑にされることで、殺人事件で唯一生き残った被害者である父親が、再び批判されるのではないかと主張しました。
また、ケントは父親としてウィテカーの殺人の許しを請うために、「家族による殺人」という本も執筆しました。
さらにケントは、テキサス州恩赦理事会に息子の死刑取りやめを求め、理事長のグレック・アボット氏と30分間面談しました。
ウィテカーの刑は、予定されていた2018年2月22日の死刑執行のわずか45分前に、理事長のグレック・アボット氏により、死刑執行から仮釈放なしの終身刑に変更されました。
アメリカ各地で行われている死刑に対する問題点(トーマス・バートレット・ウィテカー テキサス州セレブ一家殺害事件)
ヨーロッパの各地では、死刑制度自体が廃止される動きが強い中、アメリカのいくつかの州では以前死刑制度が廃止されないまま、年間何百件もの死刑が執行されているといいます。
ヨーロッパの大手製薬会社が死刑執行に使用される薬物は、販売しない方針としたことから、アメリカでは死刑執行に使用される薬物が入手困難な状況となっています。
そのため、アメリカの各地では調剤薬局に死刑執行用の薬物調合を依頼したり、試験が行われていないような薬物の調合で死刑執行が行われているのが現状です。
ペントバルビダールという動物を安楽死させる時の薬物で、適切な規制を受けていないものが使用されると、死の直前に耐えがたい痛みを伴う時があるといいます。
アメリカではチオペンタールという鎮静・睡眠薬の効果と即効性のある薬物が不足しており、代替品としてペントバルビダールが使用されるようになったようです。
この死の直前の耐えがたい痛みで、26分間苦しみながら亡くなった方もいるといいます。
このような死刑のあり方が、あまりにも残酷であることが問題視されています。
ウィテカーは、このような残酷な死刑執行がなされることの違法性を訴えました。
さらに他の死刑囚とともに、テキサス州において受刑者は死刑の執行の前日23時間独房に監禁されることについて、死刑囚の人権を度外視した違法な行為である旨の集団訴訟をおこしています。
さらに独房監視における問題点をウィテカー自身が狭くて孤独な監禁室に閉じ込められることへの心身への影響について詳細に記したエッセイを書き、「A Nothing Wilson」というコンテストで受賞しています。
まとめ(トーマス・バートレット・ウィテカー テキサス州セレブ一家殺害事件)
今回はテキサス州のセレブ一家が殺害された、トーマス・バートレット・ウィテカー事件についてご紹介しましたがいかがでしたか。
調べてみると、テキサスでは精神障害を抱えて殺人を犯した人の死刑が執行されてしまう例もあるようです。
ウィテカーの犯した罪は消えることはありませんが、残酷すぎる死刑執行の在り方も問題ですね。
ウィテカーは刑務所で父親に対する感謝をブログに綴っているともいいます。
もともとは優しい人間だったのですから、これからは罪を償いながら、収監された人や死刑囚の人権擁護のために戦ってほしいですね。